当教2013

大学2年生から卒業するまで、あるIT企業でバイトをしていた。『IT企業』と言っていいのか分からないけど。 

 

最寄りの駅から10分ぐらい歩くと雑居ビルがある。そのビルの一室が、そのバイト先の会社のオフィスだった。設立から7・8年くらいで、社員は10数人。社長から役員からバイトまでがそのビルの一室に集まり、ワイワイ仕事をしている。

業務内容は『通販サイトの作成と運営』。

さまざまな中小企業からの依頼を受けて、その企業が売っている商品の通販サイトを作成するというもの。作成だけではなく、その集客~運営までを一括して代行するという形式である。商品自体は、その取引企業の自社倉庫や実店舗から発送するので、会社自体はビルの一室を借りるだけで済む、というわけである。

この会社自体、積極的に求人を出すお金が無いのか、それとも他に理由があるのか分からないが、求人誌などでアルバイトの募集は行っていなかった。ただ一つ存在するのは『何年このレイアウトのままなんだろう』という感じの、ノスタルジーを感じるデザインで統一された自社サイトに、『採用情報はコチラ!』という文字だけだ。

 

こんな謎の会社を選んだのにも、それはそれで理由がある。

 

大学当時の俺にとって、親からの仕送りだけが唯一の収入源であり、それは俺の銀行口座に毎月一定の額で振り込まれる。その額から家賃、大学までの定期代、光熱費などの最低限の支出を差し引いて、残った金額で生活しなければならない。

これといって金遣いが荒いというわけではなかったのだが、体感としては『いつもお金が無いような気がする』という状態だった。

たまに発生する飲み会。定期的、あるいは突発的に発売されるゲームやそのサウンドトラックCD。面白かった漫画の単行本など……。

 

まあ、とにかく、お金が欲しかったわけである。

 

さて、そうなると、お金を稼げるアルバイトを探す必要がある。

当初は目に付きやすいコンビニや、居酒屋などの定番アルバイトをインターネットの求人サイトで眺めていたのだが、正直ハードルが高すぎるような気がした。大学で『単位のためにノートの貸し借りをする知人』すら存在しない俺が、接客業で知らない人間相手にマトモに喋っているイメージが湧かないのである。ひたすら、ただただ怖い。

 

もう少し、人間としての『ランク』が低い存在でも、なんとか働けるような仕事がしたい……。

 

あれでもない~、これでもない~、とインターネットを彷徨っているうちに、ついに『人間と対面で仕事をしなくていい』、そんな職種を見つけたわけである。

 

それが『IT企業』だった。

 

そう、パソコンと一対一になれる仕事だ。

 

 

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カチャカチャ

 

『伝説の名作!! あの○○が80%OFF!!!』

 

「………」

 

カチャカチャカチャ

 

『【80%OFF】で、あの『伝説の名作』が、あなたのコレクションに!!!』

 

「………」

 

カチャカチャカチャカチャ

 

『1点限り!!! 早いもの勝ち!!!』

 

「………」

 

画面を見つめながら首をひねる。

 

背もたれに上半身を預け、天井のLED照明を見つめる。

 

なんか……

 

「……なんか、違うよな……」

 

バックスペースキーを長押しする。

 

 

……

 

 

俺は、無事にこの会社の面接に受かっていた。

 

「オッケーオッケー、じゃあ明日からよろしく!」

 

そう言って、初回の面接だけで俺を採用したのは、この会社の『社長』だった。

長い髪を2つ分けにしていて、メガネをかけている、いかにも”理系”といった感じの人だった。年齢は40代ということだったが、年齢以上に若く見える。

……というか、採用決定の判断があまりに軽すぎるので、唖然としてしまった。

なんせ、面接が始まってからまだ10分も経っていない。

俺のその様子に気づいたのか、社長は「まぁ、さ、一回試しに仕事してみないと何も分からないからさぁ……」と、なんだかよく分からないフォローを入れてくる。

 

「はぁ……そうなんですか」

 

よく分からないので、俺もとりあえず適当に返事をする。

 

「とりあえず、明日10時に出勤してもらって、仕事内容はその時に伝えるよ」

 

俺の肩をポンポンと叩く。

 

「これからよろしくね」

 

そう言って社長は、長い髪の毛を揺らした。

 

「………」

 

ずいぶん前の話だ。

 

 

……

 

 

カチャチャカチャ

 

「………」

 

いま俺がやっていることは『メールマガジン』を書くことである。

とある通販サイトのメルマガ会員向けに、セール情報などを盛り込んだメールを送るのだが……、正直、商品知識が全く無いので無難なことしか書けない。

「◯◯が何%OFF!!」

とか、

「◯◯が新入荷!!」

とか、そんな感じである。

一応ではあるが、ショップ側の店主のオッサン(顔は見たことないが、50代くらいの男性らしい)がネットの商品ページに説明文を書いているので、それを借用してのらりくらりと文章を考えている。

最近はずっとこんな感じだ。

というか、ここ1年くらいずっとこれしかやっていない。

自分から「あれやりたいです!!」と声を上げれば、これ以外にも色々なことをやらせてくれるらしいのだが、面倒事に首を突っ込みたくない俺は、ひたすら毎日メールマガジンを書くマシーンになっていた。

 

メルマガマシーン。

 

カチャカチャカチャ

 

俺はメルマガマシーン。

 

カチャカチャカチャ

 

メルマガを書くぜ。

 

カチャカチャカチャ

 

ウィーン、ガチャ、ピピピッ。

 

カチャカチャ……

 

「◯◯くん」

 

「ピピッ」

 

「え?」

 

「あ、いや、なんでもないです。何ですか中島さん」

 

中島さんは、この会社の社長の同級生で、一緒に会社を立ち上げた人だ。

取締役という役職だが、今でも普通に現場で営業を担当している。

 

「◯◯くん、前に言ってた面談なんだけど、今日これからの予定だよ」

「あっ、そうでしたっけ……」

「適当なところで切り上げたら、近場の喫茶店に行こう」

「はい、わかりました」

 

そうか、今日は面談だったんだ……

 

 

===============

 

 

「○○くん、なにか悩んでることとかある?」

「悩んでることですか……?」

 

会社はビルの一室に入っているだけなので、込み入った話がある場合、社員を含め大抵の人間は近所の喫茶店などを利用している。

今回もその例に漏れず、面談という名目で会社の近くにある喫茶店に来ていた。筆記体で店名が書かれていたが、あまりにも流暢に書かれていて全く読めない。

 

「何でもいいよ」

「悩み……」

 

会社の仕事の話はそこそこに、今は人生相談みたいな感じになっていた。

俺を含めバイトをしている人間のほとんどが『インターン』という形で採用されているため、ほぼ全員が大学生である。大学を卒業したら会社も辞めてしまうため、こういった面談では『仕事』よりも『普段の悩み相談』という話がメインになっている。

 

「あの……」

「うん」

「大学で……というか、就職活動で悩んでまして……」

「へぇ、どんな感じ?」

 

中島さんが体を乗り出してくる。

 

「あの、の終わり頃から少しづつ、会社の説明会とか面接とかに参加してたんですけど……この時期になっても1つも内定が出なくて……」

「……」

「それで、今は『休憩』みたいな感じで、就職活動をするのを止めてるんです。だからこのバイトにも出勤してて……、ホントは今も、説明会とか面接とかに行かなきゃいけないんですけど……」

「ふ~ん」

「……」

「まぁ……大学生にありがちな悩みだよね~」

「……」

 「あ、いや、別にくだらないっていうわけじゃないよ。今までウチで働いてくれてた子たちも、同じような悩みを持ってる人が何人かいたからさ」

「……そうなんですか?」

「うん」

「……そうなんだ」

「……といっても、特にアドバイスすることはないんだけどね。僕は理系の大学を出てから、全然就職活動らしいことをせずに前の会社に就職したから」

「……」

「参考になるかわかんないけど、僕が今の社長と一緒に、今の会社を立ち上げたときの話をしようか……」

 

そう言ってから、中島さんは色々と話してくれた。

仕事がつまらない、と思っていたところを今の社長から誘われて、会社を辞めて起業したこと。立ち上げたばかりの頃に死ぬような苦労をしたこと。最近ようやく余裕が出てきて、インターンやアルバイトを雇い始めたこと。大学を卒業すると共に、会社を卒業していったOB・OGのこと。

他にも色々話してくれたような気もしたけど、あまり覚えていない。

 

 

===============

 

 

「……まぁ、話が散らかっちゃったけど、一番言いたいことは『就職することだけが人生のすべてじゃないから、気楽に考えて』ってこと」

「はぁ」

「就職しても僕みたいに辞めて会社を立ち上げる人間もいるし、ウチを辞めていったバイトの子も、しばらくフリーターで過ごしたあとに就職したりっていうパターンもあるし」

「………」

「あんまり参考にならなかったかな」

「いえ……、ありがとうございます」

 

正直、全く参考にならなかった。

当時の俺は『就職できなかったら人間じゃない』という社会一般の””暗黙の了解””みたいなものに押しつぶされそうになっていた。就職ができなかったときの人生が想像できない。追い打ちをかけるように、実家の親からは毎日のように『就職は決まったの!?』『山梨(実家)のハローワークはどうなの!? そこで探したほうがいいんじゃないの!!?!』みたいなメールが飛んでくる。今までの人生経験から、絶対に山梨には帰りたくなかった。それに、親が就職の世話をしてくれるわけでもない。

そんな気持ちでいるのに、『気楽に』なんてなれるわけがなかった。

 

「〇〇くん、僕はもう一杯コーヒー頼むけど、〇〇くんはどうする?」

「あ……お願いします。」

 

呼び出しボタンを押す中島さん。少し待ってパタパタとやってきた女性店員に「コーヒーのおかわり2杯」と注文する。

「おかわり2杯ですね」と復唱した店員は、またパタパタと厨房に戻っていった。

 

「ところで」

「はい」

「◯◯くんは、創●学会って知ってる?」

「え?」

 

??

 

「あ……、は、はい、聞いたことはあります」

「あ、そうなんだ」

 

微笑む中島さん。

 

「僕も家族ぐるみで学会員なんだけど、◯◯くんが興味あったら一緒に行ってみたらどうかな、って思ってるんだけど」

 

???

 

「そ、そうなんですね」

「いや、別に怪しまなくていいよ」

「……」

「創●学会には、◯◯くんと同じ悩みを抱えてる子達がいて、そういう子たちと一緒に話したりすれば、その悩みも解決できるんじゃないかなって思うんだよね」

「え~~と……」

「どう?」

 

中島さんはまっすぐ俺を見つめてくる。

 

「あの」

「うん」

「お待たせしました~」

 

さっきの女性店員が、横に立っていた。

どうやら注文のコーヒーを届けにきたらしい。

 

「お、ありがと~」

「あ、ありがとうございます……」

 

店員からコーヒーを受け取る。

少し息をつく。

 

「……」

 

湯気の立つ液体を一口すすり、口の中で転がしてから飲み込む。

 

「中島さん」

「なに?」

 

少し手が汗ばんでいる。

 

「あの、あんまり……興味が、ないので」

「……」

「とりあえず、自分だけで頑張ってみたい、というか」

「……」

「そんな感じで……」

「……ふーん」

 

そうやっている間も、ずっと中島さんは俺の目を見つめてくる。

 

「え~~、はい……」

「……」

 

見つめてくる。

 

「……」

「……そっか~」

 

少し残念そうな顔になる。

 

「ま、ちょっと急だったかもね」

「あ……、あの、はい」

「そっか、そっか。まぁ……また気になったら声かけてよ」

「……はい、気になったら、気に……」

 

多分、かけないけど……。

 

「……」

 

俺は飲みかけのコーヒーにミルクを落とした。

 

 

===============

 

 

それから数回はその会社に出勤した。

なんにせよ、メールマガジンを書くだけでお金を貰える仕事というのは、探してもなかなか無いものだからだ。

 

しばらくすると、だんだんと説明会や就職面接に出るだけの気力が回復してきたので、シフトの日数を減らす方向で、社長には調整をお願いした。

 

「すみません、あんまり出勤できなくて」

「いいよいいよ、就活頑張ってね」

ものすごい速さでパソコンのキーボードを叩きながら、笑顔で返す社長。

「……ところで、自分があのサイトのメールマガジンを書かなかったら……誰か別の人が書いてくれる、って感じですか?」

少し気になったので聞いてみる。

「え?」

社長はキーボードを叩く手を止める。

「誰もいないよ?」

 

え?

 

「え~~~~と」

「もともと、新着商品が出る度に自動でメールを送るようになってるから、開封率もクリック率もそっちの方が多いんだよね。だから、ちょっとくらい間が空いても問題ないよ」

「えっ……そうなんですか」

「またバイトの子が新しく入ってきたら、任せてもいいかもね」

 

そう言って、社長は笑った。

 

「……」

 

……

 

……といった衝撃事実から数カ月後、数社面接を受けた中の一社から内定通知が来た。

 

あまりにもあっけなく。

 

大学4年の2月。

 

もう卒業まで2ヶ月を切っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

地球にひとりぼっち ~世界の孤島15選~

明日、会社に行くの嫌だなぁ……と感じてその夜ずっとGoogleマップを使い、ひたすらに『島』を見つけて遊んでいたことがある。

島、というよりは、大陸と極端に離れている『孤島』だ。

そんな島を探していたら楽しくなってしまい、その日は午前5時頃までGoogleマップとにらめっこしてしまった。(当然会社には遅刻した)

 

それから毎日のようにGoogleマップで地球をぐるぐると回しては何もない海の部分を拡大し、また縮小し、少し動かしてから拡大して……を延々と繰り返すのが日課になってしまった。

 

なぜそんなに『島』を見つけるのが楽しかったのか……。

 

まず1つは「怖さ」だ。

 

広大な海に1つだけポツンと浮かんでいる島。

もうそれだけで怖い。

急にその島にワープしてしまったら、いくら周りを見渡しても水平線しか見えないんだろうな。

夜になったら星の光と波の音しか無いんだろうな。

 

あ~~~~~~~~~~~~~怖っ。

 

もう1つは「名前」だ。

 

マップ上に島を見つけて拡大してみると、めちゃくちゃ小さい島にも大抵名前がついている。

「こんな何もないところにある島にも、誰かが上陸したりして名前をつけたんだろうな~」

とか思うと、なんだか不思議な気持ちになってくる。

 

そういう感じ。

 

 

というか、あまりにも島を見つけるのが好きになりすぎて、

 

 

こんな本まで買ってしまった。

この本、結構面白いので気になったら買ってみるといいかも。

 

様々な孤島を見開き1ページで取り上げていて、片側でその島の地図、もう一方にその島に関する物語が綴られている。

 

中でも好きなのが『プカプカ島【太平洋】』の紹介だ。

 

 ロバート・ディーン・フリスビーは、プカプカ島貿易センターのベランダに腰を掛けていた。背後には村の半分があり、眼前には小集落があって、海べりに点々と小屋がちらばっている。子どもたちが浜の浅瀬であそび、老女たちは風になぶられながら、パンダナスの葉で帽子を編んでいる。漁を終えて戻ってくる男たちのカヌーが、水平線から近づいてきている。

 ふいに、隣に住む女がばたばたと彼のもとに駆けよってきた。一糸まとわぬ裸体で。海から上がったばかりのびしょ濡れ、黄金色に灼けた肌に髪がはりついている。息を切らし、なにか飲み物をとねだるうちにも、乳房が上に下に揺れる。フリスビーはあたふたと望みのものを渡したが、女が夕闇に姿を消したあとも、長いことあとを見つめていた。妙に心が昂ぶっていた。もうずいぶんここで暮らしているが、いつまでたっても裸体に慣れない。その点では自分はいまだに、ここのような奔放さを想像もできなかったクリーヴランド出の少年のままだった。

『奇妙な孤島の物語』プカプカ島 p.082  

 

うーん、深い。 

 

まぁ、そんなわけで、今回の記事では俺がマップ上で見つけたり調べたりして気に入った『孤島』をどんどん紹介していきたいと思う。

 かなり長い記事になったので、時間のある時に『続きを読む』からどうぞ。

 

 

では。

 

 

Here we go.

 

 

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透明な薬

「子供の頃って、今考えれば変なことにハマっていたりするよね」

 

それはその通りで、例えば『気に入った言葉を無限に繰り返す』『誰にでも指で浣腸したがる』『鼻くそを食べる』といった行動がそれである。

 

幼少期には誰しもが1つくらいは謎の行動を起こすし、そして俺の場合は『車の排気ガスの臭いを嗅ぐ』という行為が”それ”だった。

 

 

==========

 

 

保育園に通っていた頃、母親が毎日俺を送り迎えしてくれていた。

 

保育園に併設されている駐車場は、田舎だからか結構広く、送り迎えの時間になると、園児を輸送する車でごった返している。

ほどんどの園児が車で来ていた。否が応でも。

車が無ければ、田舎では保育園にも通うことができないのだ。

 

さて、車で送り迎えをされていると、どうしても『待ち時間』が発生する。

様々な要因で発生する待ち時間。

家から保育園までの道の混み具合、家事の都合、母親の怠惰など、複雑な要素が絡み合い……。

ともかく、母親が退園時間ピッタリに来るとは限らないのだ。

 

暇を持て余した俺は、待っているのももどかしく、駐車場で遊ぶことにする。

危険なので真似をしないで欲しいのだが、他人の迎えに来た車の下に、猫のように潜ったり、またのそりと這い出ては車の表面にベタベタと触ったりしていた。

そうこうしているうちに、その車の主達が園内から出て、駐車場へと向かってくる姿が見えた。

俺は見つからないように(子供はかくれんぼが好きなので)、車の後方にしゃがみ込み、息を潜める。大きめのミニバンなので隠れやすい。

幸い、彼らは車に乗り込むまで俺には気付かなかったようで、ブルルンとエンジンの音が聞こえてくる。

 

と、俺の顔に生暖かい空気が勢いよくぶつかる。

 

「!」

 

そう、目の前にあった車のマフラーの排気口から、排気ガスを吹きかけられたのだ。

 

「!!!!」

 

え?

 

「!!!!」

 

めっちゃ……

 

「!!!!」

 

めっちゃいい匂いだこれ!!

 

「スーー」

 

……

 

「ハーー」

 

すごい……。

 

鼻から入った大気の成分が、脳に直接浸透していくのがわかる。

 

「スーーーーーーーー」

 

……

 

「ハーーーーーーーー」

 

……キモチイイ……

 

「スーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 

……

 

「ッスーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 

………

 

「ッッスーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 

ブロロロロロロロロロロ……

 

「ハァッ………」

 

そうこうしているうちに、車は走り去っていった。

 

「……」

 

「なにやってんの?」

 

「!!!!」

 

母親だ。

 

「ッッッ……」

 

「ほら、そんなとこで遊んでないで、帰るよ!」

 

「……」

 

……

 

その後、母親の車に乗り込まずに、ずっと排気口から出る排気ガスを吸っていたので、思いっきり頭をブン殴られた。

 

そんなんだから、今現在バカになっちゃったのかもしれない。

 

 

==========

 

 

さっきふと思い出したから書いた。

 

まぁ、よく保育園の時のことを覚えてたな。

 

というかむしろ、保育園時代の唯一の思い出だわ、これ。

 

 

ハハッ。

 

 

 

じゃ。

 

 

タイトル

小さい頃から鼻血が頻繁に出る。

もう勘弁して、ってくらい出る。

具体的には一日に一回は出てる。

 

昔、爆笑問題の太田がテレビで「俺は鼻の中が常に湿ってないと気持ち悪いんだよね」って言ってた。

俺の場合は逆で、常に鼻の中がサラサラに乾燥していないと、不快で夜しか眠れない。

だって、鼻水が常に鼻孔内を濡らしてる状態でさ、普通の生活なんてできないと思うんだよ。

いつ『垂れて』くるか、わかんないじゃん……

 

怖い……

 

そんなわけで、頻繁にティッシュで鼻をかむんだけど、まぁ。

 

出ますよね。

 

鼻血が。

 

……チュンチュン

 

「あ~~~~~、よく寝たぁ(4時間)。ん~~~……、さ、歯でも磨こうかな……と、あっ、その前に鼻でもかむか」(独り言)

 

チーン

 

「………」

 

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という感じ。

 

鼻の粘膜が弱いからだと思う。

 

冬場は特にひどい。

空気が乾燥してるから?

 

みなさんは鼻血、頻繁に出ますか?

 

(返信不要)

 

 

挨拶

福岡に引っ越してきた時に、変なオッサンに遭遇した。

 

朝、出勤途中の横断歩道。信号待ちをしていると、

 

「おはようございます!!!」

 

と、後ろから急に声をかけられた。

振り向くと、頭のハゲた40代~50代くらいのオッサンが立っている。

手を体の横にピッタリとくっつけ、背筋をビシッと伸ばした直立不動の姿勢。

明らかに普通じゃない雰囲気だったのだが、挨拶されたからには返事をしなきゃ、と思い「お、……おはようございます……」と恐る恐る答える。

 

するとオッサンは、

 

「今日は水曜日です!!!」

 

と叫んだ。

 

「………」

 

確かに今日は水曜日だったのだが、なぜそれを俺に向かって叫んでいるのか。

理由が分からない。

なぜ?

 

「…お………」

 

俺がどう答えていいのか分からずにモゴモゴしていると、オッサンは俺の返事を待たずに、サッサと横断歩道を渡っていった。

 

信号は青に変わっていた。

 

 

―――――――――――――――

 

 

その後も、ある一定の時間に出勤すると、

「おはようございます!!! 今日は木曜日です!!!」

「おはようございます!!! 今日は金曜日です!!!」

と、今日の曜日を叫びながら闊歩するオッサンに遭遇した。

 

何度も会ううちに、どうやら毎日こういった行動をしているらしい、ということが分かってきた。

いつも一定の時間に散歩かなにかをしていて、そこで会う人会う人に、同じセリフを叫んでいるようだった。

 

あまりにも謎で。

この人間は一体何者なのか。

 

転勤してきたばかりで近所に知り合いもいないから、素性を聞こうにも話す相手がいない。

とはいえ、急に話しかけられてビックリする以外に特にこれといった害は無いので、とりあえずはスルーしておこう、と決めた。

 

 

―――――――――――――――

 

 

そんな「曜日おじさん」だが、それから数ヶ月して、パッタリと姿を見せなくなった。

 

朝、会社に出勤しても、夜、帰路につく時も、そのオッサンと会うことはなくなった。

それから今まで一度も会っていない。

なんなら、今このブログを書くときまでほとんど忘れていた。

思い出したのも、近所のスーパーで「今日は木曜日! ○○の日です!!」と、セールか何かの店内放送が流れていたからだ。

 

ほとんど毎日会っていたのに、当時はかなりのショックを受けたはずなのに、こんなにも簡単に忘れてしまう。

 

たとえば、今からすぐに俺が死んだとして、Twitterやブログを書かなくなったとして、俺のことを忘れないでいてくれる人っているのか。

ちょっと数ヶ月、数年経ったら、みんな忘れてしまうんだろうか。

 

まぁ、忘れて欲しいこともあるけど。

 

そんなことを考えちゃった。