行き止まり

新卒で当社に入社して、5年目の冬を迎えようとしていた。

 

サラダチキンとプロテインだけの夕飯を食べて、部屋でボーっと天井を眺めていたら、久しぶりにテレビが見たくなったので、ホコリを被ったリモコンを探し出して電源を入れてみた。

といっても特に見たい番組がなかったので、なんとなくニュース番組にチャンネルを合わせて、しばらく眺めてみる。

 

スポーツニュース、芸能ニュース……

 

ニュースを見ていると、本当に人間ばっかり出てくる。

世の中は本当に人間だけで回っているんだな、という感じがする。

 

それにしても……

 

若い。

 

名前も聞いたことないような芸能人、有名人。年齢を確認すると、俺より若い人ばかりだった。

 

昔は、テレビに出ている人たちは全員俺より年上だった。

 

いつからか、俺と変わらない年齢の人がチラホラ出てくるようになり、やがて半分は俺と同じか、俺よりも若い人になっていった。

 

いずれ今よりもっと、俺より若い人だけになるんだろうな。

 

もう、なにもかもやるには全部遅くなってしまった感じがする。

 

実家のコタツに入りながら、ボーっとテレビを見ていた頃。

あの時の、何も考えずにテレビを見て笑えていた頃は、テレビに映る人達の『誰にでもなれる』と思ってた。

 

頑張れば……、運がよければ……

 

何かのキッカケで、俺は誰にでもなれるはずだった。

 

誰にでもなれるはずだったんだよな。