昔々、といってもそんなに昔じゃない。俺は桃の中に入っていた。何でそんな所に入っていたかって?ハハッ、こっちが知りたいくらいだね。『桃』とは本来、「愛」や「慈善」を意味する果物だ。今のは嘘だ。俺が勝手に決めたのさ。桃はどうやら川の上を流れているみたいだ。漫画的擬音をつけるとしたら「どんぶらこ~、どんぶらこ~」が妥当だろうな。ハハッ。そんなこんなをしているうちに、桃は誰かに拾われたようだ。おいおい。中には俺が入ってるんだぜ?まさか切って食べようとか思ってるんじゃないだろうな?だが、俺の嫌な予感は的中した。