勝つ
昨年の総括
負け
浅慮
寒いね。
こんな季節になると、もう暖かい布団から出たくない。
一生寝ていたいよね。
ところで、『布団での寝方』って、世間一般の人はどうしてるんだろう。
俺の想像で言うと、布団って大抵の人がこういう感じで入ると思う。
まあ……こうやって仰向けで寝てると思う。
もしかしたら、猫みたいに丸まって寝るっていう人もいるかもしれない。
でも、俺に限って言えば、火葬される直前の死体みたいな感じにならないとマトモに寝れないんだよね。
ごめん、俺の話で。
でもさ、こういう寝方だと部屋の寒い空気とか周りの微妙な騒音とか気になりだして、眠れない時があるわけ。
特に冬場とかは空気も乾燥するし、顔がパリパリになったりする。
じゃあ暖房をつけたり加湿器を炊いたりすればいいじゃん、ってみんな言うと思う。
でも暖房だったら電気代とか、加湿器だったら水の管理とかも面倒くさいわけ。一人暮らしだから誰もやってくれないし。
というわけで、それを防止するためにいつも布団を頭まで被って寝てるんだよね。
でもさ、この寝方もやっぱり万能じゃなくて、みんなも気になる部分が一つあるよね?
寒いじゃんって、『ここ』が。
実際、寒い。
顔が冷えるよりも、もっと嫌かもしれない。
絶対寝付けない。
という感じで紆余曲折経て………
こんな感じでさ、毎日寝てるんだよね。
でもなんか嫌だからやめたい。
この寝方をすると頭とか足を一切動かせないし。
なんかアホみたいだし。
というか、朝起きたら結局は頭か足が掛け布団の外に出てるし。
あ~~~~~~~~~~~~~~~~~
嫌だなぁ……って。
おわり
罰当たり
─────これは、罪の告白です。
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当時子供だった俺は、風呂でオナニーを覚えた後、ご多分に漏れず毎日オナニーばかりするガキになっていた。
風呂のジャグジーで精通した影響で、ちんちんに『特殊な刺激を与えることが気持ち良い』と身体が導くまま、一般の人たちが考えるような『指を輪っかにしてシコシコと陰茎を摩擦する』というオナニーの仕方を学ぶ前に、独自のオナニーを覚えてしまっていた。
そうしている間に風呂のジャグジーでするオナニーにも慣れてしまい、新たな刺激を探すようになる。
ある夜、布団の中でちんちんをイジりたくなった俺は、パジャマの中に手を突っ込み、その粗末なものに添え、モゾモゾと動かした。
すると、パンツの布地にちんちんを擦り付けると気持ちが良いことに気づく。
「………」
そのまま高速でちんちんをぷるぷるさせ、パンツに擦りつけまくる。
「………」
ぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷる。
「………」
ぷるぷるぷるぷるぷr
「あっ」
ビュクッ……
「………」
大丈夫。パンツは汚れてない。
なぜなら、まだちんちんの皮が剥けていないから。
その皮の『出口』を指で摘んでいれば、出てこないから。
外に。
…………
====================
その後、パンツの布地にちんちんを擦りつけまくっていた俺だったが、紆余曲折あり、ついに禁断の技法に到達する。
『床オナ』
そう、床にちんちんを擦り付けるオナニー法である。
さて、俺の床オナ法はこうだ。
1.ティッシュを3~4枚ほど取り、近くに置いておく。
2.パンツを太ももまで下げ、ちんちんを露出させる。
3.うつ伏せ状態になり、床面へ皮を剥いていない状態のちんちんを接触させる。
(図1)
※この時、ちんちんの『皮』は絶対に剥かないように注意。
※亀頭を直で床面に接触させると痛いぞ!
4.腰を少し浮かせ、床面に沿って上下にちんちんを動かす。
5.気持ちよさがピークに達したら、ちんちんを床から離す。
6.近くに置いたティッシュに射精する。
この一連の流れを毎日繰り返していた。
馬鹿みたいに。
で。
実家の俺の部屋は2階にあった。
そこは床面がフローリングになっており、実に床オナしやすい環境である。
そこで毎日しこたまやっていたわけだが、ふと目をやると、あるものが目に入った。
黒い岩みたいな。
何か。
大黒柱だ。
うちの実家はかなり古い建物で、とにかく太い大黒柱が家を支えていた。
四角い木で、1辺あたり40cm~50cmくらいの大きさがあり、年季が入っているのか、表面はツルツルとしていて、真っ黒になっていた。まさに大黒柱、といった佇まいである。
実は、大黒柱は天井まで到達しているかといえば、そうではない。
その証拠に、実家の大黒柱も2階の床面を貫通してはいるものの、5cmくらい頂点を覗かせているような形になっており、少々歪ではあるが、その頭は平面になっている。
(図2)
その大黒柱が、俺の部屋の中にあったのである。
「………」
その頭を撫でる。
長い月日を経て人に拭かれたり撫でられたりしてきたのか、一切ささくれ立った部分はなく、ツルツルとしている。デコボコしている箇所はあるが、その凹凸はなめらかである。
「………」
モゾモゾ……
「………」
「………」
ぷるぷるぷるぷるぷる。
「………」
ぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷる。
「………」
ぷるぷるぷるぷるぷr
「あっ」
ビュクッ……
「………」
大丈夫。柱は汚れてない。
なぜなら、まだちんちんの皮が剥けていないから。
その皮の『出口』を指で摘んでいれば、出てこないから。
外に。
………
====================
この後、床オナの後遺症により、普通のオナニーで射精できるようになるまで血の滲むような努力が必要になったことは、また別の話。
ちなみに、俺が今でも包茎なのは床オナのしすぎのせいだと思ってます。
終
酒が嫌いなんだ、っていう話
酒が嫌いなのである。
一言に「酒が嫌いだ」といっても、じゃあ酒の何が嫌いなのかという話になる。
というわけで、この際に全てをハッキリとさせておきたい。
酒が好きな人は見ても「こいつバカ?」と思うかもしれないので、見ないほうがいいです。
先に謝っておきます。申し訳ありません。
では開始します。
────────────────────
①そもそも酒、マズくない?
これ。
美味いか? 酒って。
また、酒を飲んでいる人からこんな言葉を聞いたことがあるだろう。
「このお酒、飲みやすいですね~♪」
?
いや、冷えたアクエリアスの方が50倍は飲みやすいね。
────────────────────
②居酒屋においてある『すべて』、高くない?
★枝豆 490円
え?
★コロッケ 590円
え?
★唐揚げ小3個 400円
★ソフトドリンク 410円
え??
★黒霧島 550円
え???
………
ちょっと、俺がよく行くサイゼリヤのメニュー見てもいい?
★柔らか青豆の温サラダ 200円
はい。
★ミラノ風ドリア 300円
はい。
★若鶏のディアボラ風 500円
はい。
★セットドリンクバー 200円
うんうん。
………
なにこれ?
────────────────────
③酒の席なら何をしてもいい、という風潮。なに?
「……だからな、俺は言ってやったわけ。『イシャはどこだ!』ってよ」
「……あはは」
「あ~~、おい、なんか面白いことやれよ」
「え?」
「お前、全然酒呑んでねえじゃん。だったら面白いことしろっつってんの(?)」
「え~~~~~と」
「……」
ボコッ
「痛ッ」
「……」
「は、はい……え~~~~~~~~~~~~~~と、じゃあ……ドラゴンボールZのセルの声真似やります。…スゥ~…『このわたしにバリヤーを張らせた貴様の攻撃は評価に値する……思いのほかダメージは大きかったぞ……』」
「……」
ボコッ
「痛ッ」
で。
「うぅ~~~~」
「先輩、大丈夫ですか。歩けますか」
「バカかお前は」
ボコッ
「くっ……」
「歩けるわ……」
フラフラ……
「あ~~~~ションベンしたくなってきたな」
「ダメですって、ここ店の前ですよ!」
ジーー
「ちょっ……」
ジョロロロロロロロロロロ……
「ウ↑ィ↓~~~~~」
「わ~~~~~~~~」
………
なにこれ?
────────────────────
④酒、頭痛くならないっすか?
飲み会でまず最初に飲むものといえば、そう『ビール』である。
ビール自体がそもそも美味しくないのはまあ置いといて、1杯までならなんとか耐えられるのだが、飲み会ではまず1杯では済まないため、2杯目を飲むことになる。
すると、頭がズキズキと痛くなってくるんですよね。
しかも、ず~~~~~っと。
ズキズキズキズキズキズキ。
って、そんな感じで頭が痛くても、先輩に酒を注がないといけない、注文しないといけない、先輩が注文したにも関わらず全く手を付けてないサラダとか海老の唐揚げとかを食べなきゃいけなかったりする。
俺以外が全員楽しくしているような気がする。
俺だけ苦しんでいるような。
一度、あまりにも苦しいから自暴自棄になって、自傷行為みたいに酒をガブガブ飲んだら嘔吐が止まらなくなった。
苦しい。
意味ある? これ。
────────────────────
⑤飲みニケーションとかいうバカタレ
酒の席でしかできないコミュニケーション。それが飲みニケーションだ。
で?
って感じ。
わざわざ居酒屋に行かなければコミュニケーションが取れないっていうのもおかしな話で、そんなものは普段からコミュニケーションを取ればいいだけこと。
そもそも職場で一分一秒も喋っている暇がないというわけでもないのだから、その時に話せばいいだけの話じゃない?
そういう人に限って、酒を飲むことを、『呑む』とかちょっと洒落た感じで表現したがるんだよね。ジュースを飲むのとは別、違うんだよ、と。
というか、俺みたいに酒に弱い人間からすると、酒を飲んでフラフラになった状態で聞いたありがたい話だったり、後々重要になってくる話とか、それこそ聞いてる暇ない。
頭が痛くて、目を瞑りたくて(横になって安静にしていたい)、話を聞く余裕が無いからだ。
これ、本当にキツイんですよ。マジで。
本当に。
────────────────────
⑥で、酒に対してぐちぐちブーたれてる俺は?
あのさぁ……さっきから酒の悪口ばかり言ってるお前。酒の否定ばっかりしてるけど、そんな無価値な飲みモンだったらさ、現代まで生き残ってるわけねーだろ。アホか。じゃあ何か?お前は酒に代わるなにかを提供できるとでも? さっき飲みニケーションのこと馬鹿にしてたよな? じゃあお前、お前こそ普段から人とコミュニケーション取ろうとしてんのかよ。職場の隅っこでブツブツブツブツ喋りやがってよ。聞こえねーんだよ。お前の声。で、お前タバコ吸ってたよな? 俺から言わせればタバコの方が『悪』だと思うね。飲み会は勤務時間””外””に好きな人間同士で行ってるからいいものの、「タバコ休憩いってきまーす」とか……え? まだみんな働いてるっつーの。お前がちょこちょこ休憩行くせいでイライラしてんだよ、こっちは。というか臭せーんだよ。休憩から帰ってきたお前。てめぇじゃ鼻が馬鹿になってっからわかんないかもしれないけど、服にこびりついてんだよ、煙の臭いが。ま、いいや、酒の話に戻るけどさ。別に俺は、お前に「飲み会に参加しろ」だとか言いたいわけじゃない。わかる? 単純に酒が好きだから飲む、っていう人間もいるけど、そういうんじゃなくて、職場だけで分からなかったことを知る場所でもあるわけ。飲み会は。ちょっと職場でこういう不満を抱えてて、とか、あの人嫌いなんです、とか。一言言っとくけど、勤務時間中に神妙な顔つきでそうやって話しかけてきたらもう辞める寸前だからね。そいつは。ギリギリまで耐えて、そんで話しかけてきてるわけ。そういう深刻な状態になる前、みんなが聞いてるか聞いてないかわからないような場所で、ポロッと言ったことが重要だったりすんだよ。わかる? まあ、そんな深く考えなくても、俺は酒の味が好きだから飲んでるだけだけどね。で、なんか言いたいことある? 全部反論できたら認めてやるよ。
あの、すいませんでした。
終
送別会
弊社で働いていた爺さんが、4月に定年退職することになった。
65歳。
20代の頃に入社した、と話していたので、40年くらい会社にいたことになる。
入ったときから立場は契約社員で、ほとんどバイトみたいな仕事をしていた人だった。
そこまで長く働いていたら一度や二度といわず、正社員になるという選択肢もあったと思う。
それでも正社員にならなかったのは、昔はうちの会社もかなり儲かっていて、正社員にならずとも給料は良かったようだ。
昔は契約社員にも『年2回の賞与』が出ていたらしい。もちろん今は無くなっているが。
確かに、それなら責任が重い正社員よりも、契約社員という立場を選ぶのも無理はない気がする。
いい時代だったんだな、と思った。
それはそうと、爺さんが定年退職するにあたって、当然の流れで『送別会』を開こうという話になった。
本人からの意向もあって、会場はすでに決まっている。
その爺さんが良く通っていたという居酒屋だ。
席もさほど多くない、かなり小さな居酒屋だったが、職場の人間10数人での送別会という形になっていたので、会場の大きさ的には問題なかった。
爺さんがバリバリ働いていた頃の当時の所長や副所長、異動になっていた主任なんかも参加する方向で調整がついた。
幹事は俺じゃなかったので、そうやって色々決まっていく流れをほとんど眺めているだけだったけど。
さて、送別会といえば花束、そして送別品(プレゼント)だ。
今回の送別会にもプレゼントが用意される予定で、そのために1万円の予算が組まれていた。
その1万円は、参加者から徴収する参加費に上乗せという形で全員負担ということになっている。
ここまではまあ、よくある話である。
ここまでは。
===============
送別会まで残り数日と迫ってきたある日。
「松下さんのプレゼント、私に選ばせてもらえん?」
そう言ってきたのは、猫好き(※重要)の女性契約社員である。
(※俺は猫自体はそうでもないが、猫好きの人間は世界で2番か3番目に嫌いである)
『松下さん』とは、今回退職することになる爺さんのことだ。
「松下さんには世話んなっとるし、私みたいな『女性』が選んだほうが、良いプレゼントになると思うんよね~」
「え、あの、どういうことですか?」
「へぇ?(笑) 幹事さんからなんも聞いとらんの?(笑) 一応、あんたも社員さん(正社員)やから「それでいいかどうか」を確認したんやけど(笑)」
(何が言いたいんだよコイツは……)
という気持ちを抑える。
「まあ……幹事が「いい」って言ったならOKじゃないですか?」
「あっそ。じゃあ期待しとってね~」
「……」
「あ。あと、私だけじゃなくて中村さんと一緒に選ぶけ、安心しとってね」
「?」
『中村さん』とは、この猫好きの女性といつも職場でつるんでいるオッサンである。
同じ契約社員で、頻繁に遅刻をしたり、指示にない動きをして失敗したりと問題の多い人である。
猫好きの女性は「安心しとって」と言うが、正直この組み合わせで今まで安心できたことが無い。
まあ、俺が深く首を突っ込むことでもないよな……。
それに、じゃあ俺がプレゼントを選べ!と言われても、マトモなものを選べる自信もない。
その時はそんな感じで軽く考えていた。
……
===============
「松下さん、いままでお疲れさまでした~~!!」
居酒屋に声が響く。
「いや~松下さんももうそんな年になったんやね」
「あはは」
昔なじみの所長からしんみりと言われて、照れ笑いする松下さん。
歳ということもあり、グラスを持つ手が震えている。
最近は足も悪くなってきたようで、職場の階段の上り下りもキツそうで、中腹で休んでいる姿が思い出される。
「………」
こんな歳になるまで働くって、どういう気持なんだろう。
わからない。
………
会は順調に進み、中盤に差し掛かろうかという時。
「え~、それでは、ここで松下さんに渡したいものがありま~~~す!」
そう言って席を立ったのは、猫好きの女性契約社員だった。
(そういえば……プレゼントを渡すんだったな)
「じゃ、持ってくるけね」
続けて中村さんが立ち上がり、店の外に出ていく。少しすると、隠しておいたであろうプレゼントを背中に隠しながら持ってきた。
「どぅるるるるるるるるるるるるる……♪」
人力ドラムロールで、猫好きの女性が期待感を煽る。
「じゃ~~~~~~ん!」
松下さんの目の前に、包装紙とリボンで包まれたプレゼントが差し出された。
かなり大きい。
(何を買ったんだ……?)
俺は不安になる。
「じゃ、松下さん開けてみて~」
猫好きの女性が催促する。
「ほ~……なんかね、これ」
松下さんは不思議そうな顔をして、包装紙を破っていく。
ビリビリ
「?」
(え?)
「これは~………」
(え?)
「シックスパッドで~~~~す♪」
(え?)
猫好きの女性は続ける。
「松下さんにね、ぴったりだと思ったんよね~♪ 普段の姿を見とったら『松下さんが腹筋ムキムキになったらスゴいやろな~』って、想像したら買わずにいられんくてね~♪」
(え?)
「ほんで、中村さんと相談して決めたんよ! 予算1万だったんやけど『絶~~~~対面白いわ!』て! 2万したんやけどね笑 で、松下さんが””気に入ったら””職場で割り勘にしようって笑。気に入らなかったら私らで払うから笑」
(え?割り勘?)
「松下さん、付けてみて~! 絶~~~~対、似合うけん、写真も撮らせて~~!」
キャッキャ
(え?)
「何、どうやってつければええん?」
おろおろする松下さん。
「腹を出して付けるんよ!これ!」
猫好きの女性は服をめくるジェスチャーをする。
(え?ここでつけるの?)
ごそごそ……
「あははははははは!似合う~~~~~♪ こっち向いて~~~~♪♪」
「こうか?」
腹にシックスパッドを付けた状態でポーズをとる松下さん。
パシャ、パシャ
「スイッチ入れて~~~~♪♪」
猫好きの女性。
「んおっ!んおっ!んおっ!」
ビクビクビクビク
「きゃははははははははははははははははははははは」
(え?)
「松下さん!気に入った?」
………
「………うん」
「じゃあこれで毎日トレーニングして、腹筋割れたら写真送って~~♪♪」
どうやら割り勘になったらしい。
===============
松下さんが本当にシックスパッドを気に入ったのかはわからない。
どちらにせよ、あの場で「気に入らない」と言えるわけないと思う。
後日、シックスパッドを予算大幅オーバーで買った猫好きの女性と中村さん、割り勘を払いたくないその他の人達で喧嘩になる。
結局、俺が予算オーバーの1万円を払うことで強制的に片づけた。
松下さんは、その1年後に亡くなった。
仕事場の近くの、ふと立ち寄った定食屋で、そうめんを食べているのを見たのが最後だった。
辞めた時より体は小さくて。
そうめんの汁をボタボタとこぼしていた。
おわり
返信不要
最近、”友達”って一体何なんだろうって考えることが多い。
社会人になってもう10年も経つのに、こんなことを考えてるなんて馬鹿みたいだけど。俺以外の世間一般の人がどうなのかは分からないけど、社会人になってからは『友達を作る』という機会が一切無い。というかそもそも『人間』とまともに話すことも、仕事以外ではほとんど無くなってしまった。じゃあ仕事は?というと、職場の同僚はあくまで仕事の同僚であり、『友達』ではない。仕事がなんとなくスムーズに進むように、1人では出来ないことを達成するために、緩やかに連帯しているだけにすぎないと思う。例えば仕事を辞めたりしたのなら、その後には何も残らないだろう。なんでこんな感じの人間になったんだろう。いま思えば、昔は『生きること』、それだけに精一杯だった。もちろん、『生を謳歌していた』という意味じゃない。言い換えれば『生き残ること』に精一杯だったということだ。学校、部活といった集団行動の中では、隅っこの方でビクビクしていた。誰かと目を合わせるのが怖かった。なにかを言われるのが怖かった。その返答によって、嫌われることは予想できても、仲良くなることは想像できない。そうやって孤立していった。そんな感じで、友達という概念とはほとんど無縁に過ごしてきたわけで。
そもそもまず、友達ってどうやって作るんだ?
この歳になってそんな事をよく考えてる。ははっ。道行く人に「友達になってください!」と言えば、友達になってくれるのだろうか? あるいは職場で?……いや、そんなもんじゃないだろ。職場の人と仲良くなんてしたくない。仕事上での、表面だけの付き合いだけでもう十分だ。実際問題として、職場の人間と深く付き合ったりしたときに、まず頭をよぎってくるのが「仲が悪くなった時に仕事に影響が出る」ってこと。どうやっても回避できないだろ。一日9時間……長いときは12時間、14時間一緒にいる人間と仲悪くてやっていけるのかって話。そういうことを考えてると、職場の人間とは「最近は暑くなってきましたね~」とか「あそこの通りに最近マンションが出来たらしいんですよね、しかも1階はフィットネスジムになってるみたいなんですよ。すごいですよね、フィットネスジム」とか、そういう微妙にどうでもいいような話を喫煙所でしていた方がいい。そんな結論が出てくる。……職場の人間といえば、今は京都に異動になった上司が以前「居酒屋の大将と仲良くしておけば、そこから交友関係が広がるから便利だぞ。根暗なお前に言えることは『居酒屋に行け!馴染みの店を作れ!』ってことなんだわ」と言っていた。居酒屋、居酒屋ね。……いや、「大将と仲良く」って、そんな簡単にやれるものなのか?俺には分からない。それとも、世間一般の人はそういった事が苦もなく出来てしまうものなのか?というか、そもそも俺は酒が飲めない。単純に酒に弱いというのもあるが、酒の席の『酔っ払っていたら何をしてもOK』みたいな空気が本当に嫌いだ。大抵酔っ払ってグダグダになっている人間を介抱したりするのは、酒が飲めない人間なんだよね。俺みたいなさ。……ってなんの話をしてたんだっけ? あ、そうそう、友達ってどうやって作るのか、っていう話だった。少なくとも、俺には厳しそうな話だよ。
というか、友達を作る作らない以前に、俺は人と付き合うのが嫌なんじゃないか。
友達が欲しいとかなんとか言っておいて、実際はそんなに欲しくないとも思っている。面倒くさいと思っている。……そういえば、さっきの居酒屋の話に戻るんだけど、その上司に二次会(場合によっては三次会の時もある)という名目で、スナックとかキャバクラとかに連れて行かれるわけだけど、そこで話しかけてきた女性からごくまれに「LINE交換しようよ!」と言われたことが数回ある。まあ、十中八九「またお店に来てね~」みたいな営業LINEなわけだけど、キャバクラに行きたての新入社員の頃は、親と職場の人間以外からLINEが来るのなんてとんでもなくレアだから何回か返事をしてた。まあ、そういう気持ちは長く続かず、社会人3年目とか4年目とかになってくると、連絡先の交換をした後に、相手から連絡があるまで返事をしないか、そもそもLINE交換しても、店の中で相手のアカウント確認のために一回試しに俺からスタンプ(キモいと思われたら嫌だからアニメのスタンプとかじゃなくて、LINEにデフォルトで登録されている白ハゲ人間みたいなやつ)を送っただけで、じゃあ店の外で俺がその子に連絡するかというと一切しない。そんな感じもままある。そういうことをしてると、あのさ、お前、人間としてどうなの?って自分で自分に問いかけたくなる。薄情なんじゃないか、と。でもさ、辛いんだよ、結局のところお店に、ひいては”私”にお金を落としてくれることが『すべての条件』になってるんだろ?って気になっちゃうわけ。お金もなければ器量もない、そういう学校の教室で休み時間にずっと机に突っ伏して寝てたような俺みたいな人間とLINE交換をするなんて、『キャバクラの店内』という前提がなければ、一生しなかった人達なんだから。お金以外のメリットがなかったら、相手としても俺みたいな人間とポチポチLINEするのも嫌だろうよ、とかさ、そういうことを思ってしまうんだよね。……とかなんとか「人付き合いを頑張らない言い訳」みたいなこと書いてたら、そういう自分が嫌になってきた。というか最近は、そもそもそういう店にも行ってない。虚しいから。あ~~。
32歳にもなって何やってんだろ、俺。