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最近、”友達”って一体何なんだろうって考えることが多い。

社会人になってもう10年も経つのに、こんなことを考えてるなんて馬鹿みたいだけど。俺以外の世間一般の人がどうなのかは分からないけど、社会人になってからは『友達を作る』という機会が一切無い。というかそもそも『人間』とまともに話すことも、仕事以外ではほとんど無くなってしまった。じゃあ仕事は?というと、職場の同僚はあくまで仕事の同僚であり、『友達』ではない。仕事がなんとなくスムーズに進むように、1人では出来ないことを達成するために、緩やかに連帯しているだけにすぎないと思う。例えば仕事を辞めたりしたのなら、その後には何も残らないだろう。なんでこんな感じの人間になったんだろう。いま思えば、昔は『生きること』、それだけに精一杯だった。もちろん、『生を謳歌していた』という意味じゃない。言い換えれば『生き残ること』に精一杯だったということだ。学校、部活といった集団行動の中では、隅っこの方でビクビクしていた。誰かと目を合わせるのが怖かった。なにかを言われるのが怖かった。その返答によって、嫌われることは予想できても、仲良くなることは想像できない。そうやって孤立していった。そんな感じで、友達という概念とはほとんど無縁に過ごしてきたわけで。

そもそもまず、友達ってどうやって作るんだ?

この歳になってそんな事をよく考えてる。ははっ。道行く人に「友達になってください!」と言えば、友達になってくれるのだろうか? あるいは職場で?……いや、そんなもんじゃないだろ。職場の人と仲良くなんてしたくない。仕事上での、表面だけの付き合いだけでもう十分だ。実際問題として、職場の人間と深く付き合ったりしたときに、まず頭をよぎってくるのが「仲が悪くなった時に仕事に影響が出る」ってこと。どうやっても回避できないだろ。一日9時間……長いときは12時間、14時間一緒にいる人間と仲悪くてやっていけるのかって話。そういうことを考えてると、職場の人間とは「最近は暑くなってきましたね~」とか「あそこの通りに最近マンションが出来たらしいんですよね、しかも1階はフィットネスジムになってるみたいなんですよ。すごいですよね、フィットネスジム」とか、そういう微妙にどうでもいいような話を喫煙所でしていた方がいい。そんな結論が出てくる。……職場の人間といえば、今は京都に異動になった上司が以前「居酒屋の大将と仲良くしておけば、そこから交友関係が広がるから便利だぞ。根暗なお前に言えることは『居酒屋に行け!馴染みの店を作れ!』ってことなんだわ」と言っていた。居酒屋、居酒屋ね。……いや、「大将と仲良く」って、そんな簡単にやれるものなのか?俺には分からない。それとも、世間一般の人はそういった事が苦もなく出来てしまうものなのか?というか、そもそも俺は酒が飲めない。単純に酒に弱いというのもあるが、酒の席の『酔っ払っていたら何をしてもOK』みたいな空気が本当に嫌いだ。大抵酔っ払ってグダグダになっている人間を介抱したりするのは、酒が飲めない人間なんだよね。俺みたいなさ。……ってなんの話をしてたんだっけ? あ、そうそう、友達ってどうやって作るのか、っていう話だった。少なくとも、俺には厳しそうな話だよ。

というか、友達を作る作らない以前に、俺は人と付き合うのが嫌なんじゃないか。

友達が欲しいとかなんとか言っておいて、実際はそんなに欲しくないとも思っている。面倒くさいと思っている。……そういえば、さっきの居酒屋の話に戻るんだけど、その上司に二次会(場合によっては三次会の時もある)という名目で、スナックとかキャバクラとかに連れて行かれるわけだけど、そこで話しかけてきた女性からごくまれに「LINE交換しようよ!」と言われたことが数回ある。まあ、十中八九「またお店に来てね~」みたいな営業LINEなわけだけど、キャバクラに行きたての新入社員の頃は、親と職場の人間以外からLINEが来るのなんてとんでもなくレアだから何回か返事をしてた。まあ、そういう気持ちは長く続かず、社会人3年目とか4年目とかになってくると、連絡先の交換をした後に、相手から連絡があるまで返事をしないか、そもそもLINE交換しても、店の中で相手のアカウント確認のために一回試しに俺からスタンプ(キモいと思われたら嫌だからアニメのスタンプとかじゃなくて、LINEにデフォルトで登録されている白ハゲ人間みたいなやつ)を送っただけで、じゃあ店の外で俺がその子に連絡するかというと一切しない。そんな感じもままある。そういうことをしてると、あのさ、お前、人間としてどうなの?って自分で自分に問いかけたくなる。薄情なんじゃないか、と。でもさ、辛いんだよ、結局のところお店に、ひいては”私”にお金を落としてくれることが『すべての条件』になってるんだろ?って気になっちゃうわけ。お金もなければ器量もない、そういう学校の教室で休み時間にずっと机に突っ伏して寝てたような俺みたいな人間とLINE交換をするなんて、『キャバクラの店内』という前提がなければ、一生しなかった人達なんだから。お金以外のメリットがなかったら、相手としても俺みたいな人間とポチポチLINEするのも嫌だろうよ、とかさ、そういうことを思ってしまうんだよね。……とかなんとか「人付き合いを頑張らない言い訳」みたいなこと書いてたら、そういう自分が嫌になってきた。というか最近は、そもそもそういう店にも行ってない。虚しいから。あ~~。

32歳にもなって何やってんだろ、俺。