24時間風呂というのがあるんですよね。
「24時間風呂って何?」って人もいるかもしれないので説明しておくと、家庭用の風呂でお湯の交換がいらない、つまり24時間お湯を貯めっぱなしにしておける風呂のことです。
ちょっと年齢がいった人であれば「ジャノメの湯名人(ゆーめいじん)♪」というフレーズを、テレビで聞いたことがあるという人も多いんじゃないでしょうか。
このテレビCMで有名だった蛇の目ミシン工業の『湯名人』も24時間風呂です。
風呂に貯めたお湯をポンプで汲み上げて、機械の中でろ過して温め直した後にまた風呂に戻す、という仕組みになっています。
うちの山梨の実家にも、そんな24時間風呂が設置されていたわけですが、上で書いた湯名人とはまた違って、浴槽一体型になっており、戻ってくるお湯の噴出口がちょっとしたジャグジーみたいになっているものでした。
話は変わるのですが、子供の頃、私は酷いアトピーで悩まされており、定期的に親に連れられて病院に行っては、身体に塗るローションをもらっていました。
かゆみで身体を掻きむしってしまうため、身体中が真っ赤になっていました。
現在になってもその時の「痕」が残っていて、人前に肌が晒せない状態です。
今思えば、24時間風呂だったり、家の部屋がほぼ和室だったり、そんな状況がアトピーを悪化させたんじゃないかという気がするんですが、もう過ぎた話です。
さて、我が家のお風呂事情に戻るのですが、先ほどお伝えしたように24時間風呂の噴出口がジャグジーになっており、お風呂に入っている際、私はその噴出口に手を当てたり足を当てたりして遊んでいました。
そしてある時気づきます。
おちんちんを当てると、とっても気持ちいいことに……
その日から、ジャグジーにおちんちんを当てる日々が始まりました。
お風呂に入る前に身体を洗い、湯船に浸かると同時にジャグジーに向けてM字開脚状態になり、おちんちんに手を添えて噴出口に向ける……
そんな日々を送っていると、また新しい気付きを得ます。
おちんちんをずっとジャグジーに当てていると、『ある瞬間』めちゃくちゃ気持ちよくなって、その後は力が抜けたような状態になる……そんな裏技があることに。
当てている間はずっと気持ちいいのですが、段々と気持ちよさのレベルが高くなっていき、ふとした瞬間に目がチカチカするくらいに気持ちよくなるのです。
ただ、その後もずっと当てていると、身を捩るような刺激(痛いような苦しいような感覚)があり、すぐに噴出口から離れなければいけません。
そういった現象も、ゲームのように楽しんでいたような気がします。
そんな毎日が続いたある日、『その時』は訪れます。
いつものように身体を洗って湯船に浸かり、いつものようにジャグジーの噴出口におちんちんを近づけます。
「お……お……お……」
徐々に気持ちよさが高まっていき、ついにその瞬間が来ます。
「………!!」
刹那、いつもと違う感覚に襲われます。
「……!?」
おちんちんがどうにかなってしまったのかと思い、下を見ると、なんとお湯の中に白いミミズみたいなものが浮かんでいます。
「え、え、え、」
ゆらゆらと何本か浮かんでいて、ジャグジーの水流に揺られた後に私の身体にぺちょ……と付着しました。
「わ、あ、あ……」
と、力の抜けた身体で狼狽える私でしたが、ひとまず体についたその白いミミズを拭ってみます。
どうやらそれはミミズではなく、何やらネバネバした液体のようでした。
指についた白くて粘つく液体を触っていると、ふと思い出しました。
そう、それは学校の保健体育で習った『精液』だったのです。
まさかとは思いましたが、そうとしか考えられません。
まだおちんちんに毛も生えていないのに、『精通』をしてしまうなんて。
射精した後の身体の疲れか、暖かい湯船に浸かって”のぼせ”ているのか、頭がうまく働きません。とにかく、ずっとプカプカ精子を浮かばせているわけにもいかないので、湯船から出て洗面所にあるティッシュを取りに行きます。
お湯の中に浮かぶ精子を手ですくっては、ティッシュで拭いていくという作業を繰り返していると惨めな気持ちになってきました。
お湯の中に射精したことがある人はわかると思いますが、精子はタンパク質なので、お湯の中に射精してしまうと、表面が固まって柔らかいガムみたいな状態になります。それを指から剥がすのにもかなり苦労します。
そうやって30分くらい悪戦苦闘して、湯船の中の精子を取り終えました。
もう一度身体を洗う気にもならなかったので、そのまま洗面所で身体を拭き、居間に戻ります。
上がってきた私を見て、テレビを見ていたお母さんが声をかけてきました。
「なんか今日、風呂長くなかった?」
「……」
「まあいいや、次お母さんが入るからね」
そう言って、浴室に向かいます。
「……(ドキドキ)」
ちゃんと掃除をしたはずなので大丈夫だとは思いますが、精子を撒き散らしたお湯の中に誰かが浸かることを考えたら怖くなってきました。
お願いだから気づかないでくれ……そう祈ります。
─── 30分後 ───
「出たよ~」
ペタペタとお母さんが出てきました。
「………」
「あ、そうだ」
「ギク……」
ドキドキドキドキ……
「なんか風呂桶の壁にベタベタしたの付いてたんだけど、なんか知ってる?」
やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい
「お……お……し…知らないけどぉ……?」
「ふーん」
「………」
「………」
「ま、いいけど。じゃ、早く寝なよ」
そう言って、お母さんは台所に歩いていきました。
今日の夕飯の残りをタッパにでも詰めるのでしょうか。
「……ハッ……ハッ……」
お母さんが気付いているのかいないのかは分からないけど、とりあえず言及はされなかったので、気持ち的に少し落ち着いてきました。
父親は今日も夜の11時にならないと帰っきません。
私はその後はもう何もする気が起きず、寝ることにしました。
それが、私の24時間風呂の思い出です。
──────────────────────────────────
その後、オナニーを覚えて猿のように繰り返した結果「ゴミ箱から変な臭いがする」と母親から怒られたり。
懲りずに24時間風呂のジャグジーで射精して、今度はガチで気づかれたりしたのですが、それはまた別のお話………
おわり(すべてが)