昔々、といってもそんなに昔じゃない。俺は桃の中に入っていた。何でそんな所に入っていたかって?ハハッ、こっちが知りたいくらいだね。『桃』とは本来、「愛」や「慈善」を意味する果物だ。今のは嘘だ。俺が勝手に決めたのさ。桃はどうやら川の上を流れているみたいだ。漫画的擬音をつけるとしたら「どんぶらこ~、どんぶらこ~」が妥当だろうな。ハハッ。そんなこんなをしているうちに、桃は誰かに拾われたようだ。おいおい。中には俺が入ってるんだぜ?まさか切って食べようとか思ってるんじゃないだろうな?だが、俺の嫌な予感は的中した。

修学旅行3

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これらの続きです。

 

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もともと旅行が好きではない俺は、早速外国(オーストラリア)の洗礼を受けて疲弊していた。

先日のレストランでの一件があってからというもの、出るメシ出るメシ全てが旨くないのである。オーストラリアは昔イギリスの植民地だったらしく、食文化もイギリスと似通ったものがあるらしい。朝メシはホテルで摂ることになったのだが、『フィッシュアンドチップス』とかいう、よく分からないものが出てきた。

味はしなかった。

おまけに水不足のため節水する必要があり、シャワーも時間制限がかけられていた。

海水浴場か?

 

そんなこんなで、今日はケアンズからパースに移動する日である。クラスメイト達と共に、うねうねと飛行機に乗り込む。

 

変な食事を摂ったのにも関わらず、日本~ケアンズ着の飛行機から降り立つ時のような腹痛は起こらなかった。俺の身体といえばいつもこういう感じで、どのタイミングで腹が痛くなるのか分からない。

 

話は変わるが、大学3年の頃の就職活動で地元の銀行に面接を受けに行った時に、朝メシとしてニチレイの『本格炒め炒飯』を食べてから向かったら、銀行のビルの入口で急に腹が痛くなってトイレに篭ることになってしまい、面接に20分遅刻したことがあった。

 

炒飯だけに『痛め(炒め)』ってか。

 

笑。

 

もちろん不採用でした。

 

そんなわけで、ケアンズ発の飛行機の中、クラスメイト達が仲良さそうに会話する音をBGMに、息を潜めて死人みたく目を瞑っていたら、俺の乗った棺桶はいつの間にかパースに到着していた。

 

と、

 

「おわ!」

 

空港に降り立った刹那、俺は叫び声を上げてしまった。

というのも、辺りに一面に、相当な数の『蝿』が飛び交っていたからだ。

 

「う……」

 

手で払っても払っても、蝿が目の前を横切る。

少し目を逸らし、周囲を見回してみた。どこに目を移しても、黒いゴマ粒みたいなものが空間を漂っている。

 

怖い。

 

後で現地のガイドから話があったのだが、今年は気候の関係だかなんだかで、蝿が大量発生しているらしい。しかも初めてのことではなく、こういった蝿の大量発生はたびたび起こっているそうで、しかも発生源が『家畜の糞』とのことだった。家畜の糞から大量に蝿の赤ちゃんが発生し、それが成長して街を飛び回っている……。

 

どうやらここはパースではなく地獄らしい。

 

俺は蝿が入ってこないように、目を細め、口を噤んだ状態で早足に移動する。

 

顔面にバチバチ当たってくる黒い弾丸と格闘していると、空港から目的地の姉妹校に向けて出発するバスが見えてきた。バスに乗り込むなり、やっとこさ蝿の無差別攻撃から逃れられた安堵感からデカめのタメ息が出た。

 

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その後、姉妹校に到着するのだが、ほとんど何をしたか覚えていない。

ほとんど挨拶程度で2~3時間くらい滞在していただけなので、特に書くべきことも無い。

 

とりあえず曖昧な記憶を元に話すなら、オーストラリアは基本的に中高一貫教育なので、姉妹校も中学生くらいの子供と、自分たちと同じくらいの年齢の高校生が、同じキャンパス内で勉強をしていた。

 

俺は英語も話せなければ、日本人とすらマトモにコミュニケーションを取れないような人間だったので、隅っこでブルブル震えることしかできなかったように思う。

 

得られたものは何も無かった。

 

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異文化コミュニケーションを終えた俺は、キャンパスに留まったままのバスの中に乗り込む。

 

ガイドの話によると、これから『動物園』に移動するらしい。

 

聞くところによると、オーストラリアならではの生き物が何種類かいて、日本で生活していたらあまり見ることのできない生き物の、その実物を見るチャンスとのことだった。

 

オーストラリア、といえば……

 

そう、『カンガルー』である。

 

そして、それが100匹くらいいた。

 

多すぎる。

 

あまりにも多すぎるし、当のカンガルー達は檻に入ってるわけでもなく、気を抜くと足で蹴ってしまいそうな距離感で存在していた。

 

カンガルーといえば、常に元気でぴょんぴょん飛び跳ねているようなイメージが俺の頭の中にはあったのだが、当の本人達はというと、日曜日で会社は休みだけども、妻の家事を手伝っても文句を言われるだけなので、ただボーっと居間のテレビでワイドショーを眺めている45歳のオッサン、みたいな出で立ちで地面に寝そべっている。

 

別のベクトルでショックを受けてしまった。

 

その印象が強すぎて、その後に見た変な亀とか、生きてるのか死んでるのか分からないコアラとかが、全然印象に残らなかった。

 

カンガルーって、こんな普遍的なものだったのか?

 

怖い。

 

帰りに場内の物販コーナーに立ち寄った際、商品棚を見ると、『カンガルージャーキー』(カンガルーの肉を干したものです)と書かれた袋が、所狭しと並んでいて、俺は周りをずーっと飛び続けている蝿を手で払いながら、ちょっと感傷的になってしまった。

 

まあ、買いませんでした。

 

不味そうだったので。

 

 

 

 

つづく

思うに忍者にどうして魅力があるのかというと、忍者というものは、まさにスーパーマンであると同時に、あくまで普通の人間でもあるからであり、とりわけANIMEやMANGAではそういう描かれ方をされています。


人間なのだけれど、超人めいてもいると。

 

忍者は普通の人間よりもずっと鍛えられており、精神的にもずっとしなやかで、いかなる状況にも適応できる戦士です。

 

その隠密性ゆえにいかなる罪にも問われず、行きたいところに赴き、投獄されることも非難されることもなく、したいことをする存在なのです。

 

忍者好きにとって、忍者というものは、人間の能力を極限まで鍛え上げた存在に映るようです。

 

忍者のもつミステリアス性やその力を前に、道徳の是非などつまらないものにしか思えないと。

 

忍者が好んで主人公にされるのも、人間の適えうる究極の身体というところが魅力に映るからです。

 

それに忍者は悪役としても魅力的で、闇に潜みミステリアスでカリスマ性があり、同時に妖しくも魅惑的で、恐ろしい存在でもあります。

(^o^)

みなさんこんにちは。

 

前のブログのURLがTwitterのIDまんまだったので、新しいブログにして、そのへん変えてみました。

kit0876の方のブログはもう更新しませんので、Nirなり焼くなり好きにしてください。

 

でも諸々の引き継ぎをマトモにしていないので、そのうち色々な不具合が出ると思う。

 

俺の人生みたいですね。

普段使ってるブラウザがGoogle Chromeなんですけど、動作が異常に重くなったので何も考えず昔使ってたMozilla Firefoxに戻したら、これまた異常な動きをしはじめて変な声出た。

みなさんには申し訳ないけど、もう俺は助かりません。

部活

「○○くん……、日曜日の午後2時に、シティホール○○に来てほしいんだけど……」

携帯電話の向こう側から声がする。

吹奏楽部の圭子先輩(仮名)の声だった。

「……」

俺は戸惑っていた。

学校を休んで自宅のベッドで寝転んでいる時に、普段鳴らない携帯電話が急に音を立てて動き始めたからだ。

圭子先輩にも、入部した時に携帯電話の番号を教えただけで、それから一度も連絡を取ったことがなかった。

それが、なぜ今になってこんな連絡をしてきたのか分からない。

 

「それで……、大丈夫? 来れる?」

圭子先輩が俺に返事を求める。

「あの、何があったのか聞きたいんですが……」

そもそも、何のために俺がそのシティホール○○とかいう場所に行かなきゃいけないのか。

「その……」

「……」

先輩の返事を待つ。

 

「3年の……滝口先輩がね、交通事故で亡くなったんだよ。……それを見送るために、みんなで演奏しようってことになったの。○○くんも、まだ部の一員だから、やっぱり出てほしくて……」

 

「……」

 

――――――――

 

シティホール○○は、俺が通っている高校と同じ市にあった。

市の中心を通るバイパス沿いに位置しており、ここ数年前に建ったばかりだ、という話を母親から聞いた。

最近は自分の家で葬儀を行う家庭も少なくなり、こういったシティホールでパッケージ化されたプランを選ぶことが多いらしい。

6階建てくらいのビルで、正面にはちょっと高級なホテルにあるような、屋根付きの車寄せエントランスが構えられていた。

入り口を抜け、エレベーターまで向かうと、同じ種類の看板が2つ立ててある。

 

一つは『滝口家葬儀会場 ○階』

もう一つには『山口家葬儀会場 ×階』

 

と書いてあった。

滝口先輩の葬儀とはまた別の、他の誰かの葬儀も、同じホールの別の階で行われているらしい。

 

エレベーターのドアが開くと、見知らぬ学校の制服を着た女の子数人が降りてきた。『山口家葬儀会場』から出てきた女の子だろうか。

ちらっと目をやると、一人泣きじゃくる女の子を、他の女の子が必死に慰めているらしい。

俺は気まずくなり、その子達とはなるべく目を合わせずに、入れ替わりでエレベーターに乗り込んだ。

看板に書かれていた葬儀会場の階のボタンを押す。

 

ドアが閉まる瞬間、泣いている女の子の声だけが聞こえた。

 

――――――――

 

滝口先輩は、俺が所属していた吹奏楽部の部長だった。

背は180cmくらいあって、部の中では一番大きかったので、いかにも『部長』という貫禄のある人だった。

 

今でも覚えているのが、俺が部活に入って間もない頃のこと。

 

とりあえず余っていたから、という理由でトロンボーンの担当になり、ひとまず音は安定して出せるようになったかな、というさなか、『町内のイベントで演奏会をする』ことが決定した。

 

素人同然の俺も、顧問の先生の「場数を踏まなきゃ上手くならないだろ」という方針のもと、強制参加という形になったのだった。

 

当然それに向けて練習をするのだが、楽譜自体にも初めて見るような記号が使われているし(トロンボーンは音が低いのでト音記号の音域ではなく、ヘ音記号の音域で演奏をする)、そもそも管の伸縮で音程を変えるので、その管の””位置””を覚えるのもかなり苦労する。

 

そうこうしているうちに、演奏会の前日になってしまった。

 

放課後の練習が終わった後に、俺は自分の思っていることを、部長である滝口先輩に打ち明けた。

「すみません。滝口先輩。自分、やっぱり演奏会、ちゃんと出来そうにないです……。いくら練習しても同じような所でつまづくし、情けなくなります。こんな状態で、人前に出たくありません……」

俺も頭の中では『本番の前日に何を言ってんだよ、馬鹿かコイツは』と自分で自分を罵ったりしていた。でもそれ以上に、人前で恥をかくのが、とにかく怖かった。

「そうか……」

それを聞いた滝口先輩は、そう呟くと目を瞑って何かを考えているようだった。

「○○」

「はい」

怒られるのか、とビクビクする。

「そんなの関係なくないか?」

滝口先輩は笑いながら言った。

「え、でも……」

「大丈夫だから。お前一人の演奏なんて、イベントじゃ誰も聴いてないよ」

「そうなんですか……?」

「そう。譜面をちゃんと演奏できるか、とか、失敗する、とか別に大した問題じゃないよ。一番重要なのは、『そういう場所に慣れる』ってことだから」

「……」

先輩は俺の背中をひときわ強く叩く。

「だから、一緒に演奏しようぜ」

 

――――――――

 

そんなことを思い出しながら、今は真っ白になってしまった滝口先輩の顔を見つめていた。

 

「……」

 

滝口先輩は、父親の運転する車に乗って市内のスーパーマーケットに向かっている最中、交差点で信号無視をして走ってきた車に追突されたらしい。

助手席に乗っていた先輩は、左から走ってくる車に潰された。

事故当時は顔面の半分が無くなっていたそうだが、棺桶の中に横たわる先輩の顔はかなり綺麗になっている。どういう技術かは分からない……。

 

先輩の顔を見ていても、特に何の感情も湧いてこなかった。

入部当初は気にかけてもらっていたが、俺が幽霊部員になり学校も休みがちになると、顔を合わせることもほとんど無くなった。

深く付き合っていたわけではないからなのか……、自分でも分からない。

 

先に焼香を済ませた圭子先輩が、棺桶が置かれた部屋の出口で泣いてるのが見えた。

俺はその横をすり抜けようと歩みを進める。

 

「(あれ……?)」

 

なぜか急に、視界がぼやけてきた。

 

「(え?)」

 

瞬きをすると、どうやら目頭から涙が流れているようだった。

 

「(泣いてんのか? コレ……)」

 

自分でも、何で涙が出てきたのか分からない。

よく分からなかった。

 

――――――――

 

翌日、滝口先輩の入った棺桶をシティホールから火葬場に移動させる、告別式があるという話だった。

 

「告別式には楽器を持ってきてね。○○くんは、トロンボーンを持って○○時だからね」

 

圭子先輩から、葬儀場から帰る際にそう伝えられていた。

俺は家から引っ張り出してきたトロンボーンを、一度チェックで開けてみた。ちゃんと手入れをしていないからか、少し唾液の臭いがするような気がした。

 

シティホールに部員全員が集合したら、一度、顧問の先生の指揮でリハーサルをするようだった。『リハーサル』という行為自体久しぶりなので、無駄に緊張してしまう。

相変わらず、上手く演奏できない。

 

「……」

 

でも、ちゃんと演奏できなくていい。

雰囲気が重要なんだから……。

 

リハーサルが終わると、少しざわざわしてきた。

もうすぐシティホールの入り口に霊柩車がやってきて、滝口先輩の棺桶を乗せて後に火葬場へ直行するそうだ。

周りの部員を見ても、もう泣いている人はいない。

みんな真剣そうな顔で、最後の楽器チェックや譜面チェックをしている。

 

すると、それっぽい車が車寄せエントランスに入ってきた。

 

「じゃあいくぞ」

 

顧問の先生。

 

「ワン・ツー……」

 

俺の吹いたトロンボーンからは、いきなり譜面と違う音が出てしまった。

 

 

 

 

 

 

おわり