セックス病

ペニスに違和感がある……。


そう気づいたのは正月が開けてから3日か4日くらい経った頃だったと思う。

いつも通りの日課としてシコシコとオナニーをしていると、明らかに我慢汁とは違う液体が尿道から出てくるのである。

「膿だ」

白くてどろどろしている。

 

「さて」


ちんちん 膿 検索 → 『淋病 クラミジア

「なるほどね」

オナニーの途中だったので、ひとまず陰茎擦りは続行し、その日は合計3発を発射。


―――――――


それから、日に日に症状は悪化していった。


最初は皮の中(包茎なので)でおさまっていた膿が、尿道から容赦なく次から次へと出てくるので、皮から溢れてパンツまで染みてくるようになった。終いにはパンツの股間あたりの部分が、まるで夢精したかのように白くてカピカピになってしまう。

さらに追い打ちをかけてくるのが”””尿道の痛み”””である。
コレが一番キツイ。

最初はなんでもなかったのだが、数日するとトイレでオシッコをするたびに、激痛が走るようになる。まるで尿道から細長いタワシを排出しているみたいな、刺さる痛み。
痛みで身体を静止させることが出来なくなり、オシッコをしながらくねくねと気持ち悪い動きをしなければ排尿できない。

そんな状態なのだが、それでも容赦なく仕事はやってくる。

勤務時間は9時間。

職業柄、トイレにすら自由に行けないので、仕事中にパンツを通してズボンまで膿が浸透してしまったら困る。股間にシミを付けたまま仕事をする異常男性という、地獄みたいな絵面を想像して身震いする。

そこで俺は対策を考えた。

女性の”””生理用ナプキン”””で股間にフタをするという方法だ。

薬局で生理用ナプキンを購入し(これは社会的に許される行動ですよね?)、トランクスしか持っていなかったため、ナプキンをセットするために股間の面積の広いブリーフパンツを購入。

 

自宅以外ではナプキンを付けたまま生活する。

多少ゴワゴワするが、背に腹は代えられない。


さて、俺はそれと同時進行して、淋病やクラミジアに効く薬をネットで探していた。
調べたところによると、どうやらアジスロマイシンという抗生物質が含まれている薬が淋病やクラミジアには効くらしく、ジェネリックの薬品をネット通販で購入する。
個人輸入となるため、苦しむ俺の元に届くまではこの後10日ほどかかる、とのこと。

この間の俺の気持ちは、淋病・クラミジアに罹患したことのある人間ならわかると思う。

 

わからんかも。

 


10日後――


俺は連日休みなしで入ってくる仕事と、もはやオシッコをしていなくても常にジンジンと痛むようになっていた股間から受けるストレスでフラフラになっていた。

 

そんな状態で帰宅した俺の耳に、チャイムが響く。

そう、薬が届いたのだ。

英語やらなにやらが書いてある段ボール箱を、引き裂くようにして開ける。

中には外箱などなにもない、錠剤シートが輪ゴムで止められただけの薬が入っていた。

俺は逸る気持ちを抑えながら、何粒かを手のひらに乗せ、飲み込む

 

コレで安心して眠れる……ちんちんの朝立ちですら痛みを感じ、その痛みで起きるような毎日を過ごさなくて済む……泣きそうだ。

 

少しボーッとした後、眠りについた。

 

………。

 

「……?」


数時間、布団に横になっていると、徐々に違和感が出てきた。
胸のあたり、みぞおち付近が締め付けられるような、圧迫感、痛みがある。

 

「おかしい……」

 

そう思うが早いか、強烈な吐き気。


すぐさまトイレに駆け込み、薬臭い粘液を嘔吐。

 

「……!?」

 

それだけではない、グルグルと悲鳴を上げる腸……。

 

 

「……!………!……」

 

「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!! )」


―――――――

 

 

上から下から全ての水分を出し尽くした俺は、芋虫みたいに這い、薄くて湿った布団に戻り、そのまま目を瞑った。

 


―――――――


「じゃ、あのカーテンの向こうへどうぞ~」

 

女性に促される。

俺は病院にいた。

そう、症状は一向に良くなっていなかったのである。

 

あの夜、ケツから液体が出るタイプのマーライオンみたいな状態になっていたあの夜が過ぎ、どう考えてもおかしいと思い詳しく調べたところ、俺は錠剤の計算を間違え、アジスロマイシンを”””6000mg”””服用してしまったことが判明。バカ。(通常は500mgらしいです)

「もうダメだ……屈辱だが医者に頼るしかない……」

そう判断し、少ない休みに病院へかかることを決めたのだった。

本来なら大きい病院にかかりたかったのだが、性病科がある専門的な小さな病院の方が何かとやりやすい(?)のかなと思い、診療所を少し大きくしたような所を選んだ。

窓口で受付をする時に症状を聞かれ、

「性病だと思うんですが……あの、股間からですね、膿が出るんです」

と俺が答えるのを、おそらく性病とは別の病気で来ていた女子中学生に聞かれたが、気にしない。

なぜなら一刻も早く治したいから。

 

呼ばれた先の診察室には、頭頂部をハゲ散らかしたガリガリの爺さんが座っていた。医者らしい。

 

俺がその前にある椅子に腰掛けると、医者から開口一番、
「生でやっちゃったか?」
と聞かれる。

その後も、「素人?プロ?どっち?」「普通、プロだったら逆に安心なんだがなぁ? ちゃんと検査もしとるし」といった会話が繰り返される。

 

「………」


問診の後は検査である。

女性の助手に案内させられたカーテンの先にはベッドが置いてある。

俺は促されるまま下半身裸になり、寝転がる。

俺は医者の爺さんにちんちんをグニグニと揉まれ、亀頭にスライドガラスを押し当てられた。

 


「ん? なんか、また別の白い膿みたいなのが出てないか?」
「あ、それティッシュです」

 


結果は淋病でした。

 


「じゃ、薬を出しとくからね、次いつ来られる?」

医者の爺さんは言う。

どうやら何回か通わなきゃいけないらしい。

 

「え~…、全然休みが無いので、次は月末ぐらいになっちゃいます……」
と俺が言ったら、

「そんじゃもう………尻に注射、打っとくか」

 

「ぇ」

 

「特別痛いやつ……」ニヤリ


またカーテンの向こうへ促され、改めて半ケツ状態にさせられ、うつぶせで寝かされた。

振り向くと、助手の手にはデカイ注射器が握られている。

 

「あの……痛いんですかね……?」

 

「痛いですよ……」ニヤリ

 


「~~~~~~~~~~~ッッッッッ」

 


―――――――


「お大事に~」

 

「……ッ……ッ…」←ケツの痛みに耐えている

 

その後、調剤薬局でミノサイクリンという薬と、整腸剤を処方され、帰路についたのだった。

 


現在治療中です。

 

 

風俗だからといって、生セックスをするのはやめようね。

 

 

じゃ。

 

 

 

【追記】

治りました。