国立駅南口を出ると、まず目に入るのがクソほど長い『大学通り』である。
その煌びやかな並木道に目を向けず、右の方に歩くとすぐにディスクユニオンがある。
俺の趣味はゲーム音楽のサントラ収集。
週に7日ほど通い、オタクCDが中古で置かれるたびに回収する作業を行っていた。
他の客がロックやポップスのCD棚に目を向けている中、大学帰りの身体が臭いオタクフェイスがもぞもぞと小さいアニメ・ゲームCDコーナーで蠢いている。
無様だったと思う。
隣の駅、立川に移転したと張り紙が貼られていた。
大学の帰りに寄れないのなら中古でCDを買う意味がない。電車賃がかかるので。
そうして俺の中古ゲーム音楽CD収集はほぼ幕を閉じたのである。
嘘です。
今でも買ってます。
―――――――
時は過ぎ……
2015年12月28日、俺は立川のディスクユニオンにいた。
大学時代の記憶に想いを馳せながら、今日の目的を思い出す。
『東京の友達と飯を食う』
このためだけに、現在住んでいる北九州からLCCで30000円弱の旅費を支払い、立川に来たようなものなのである。
時計を見ると午後7時手前。
―――――――
「……で、○○と甲府のソープに行ったんだけど、もうその時の事は思い出したくないね」
「はは」
「地元なんだから北尾さんも来れば良かったじゃん」
「いや、休みが……」
立川駅北口の近く、『じとっこ』という居酒屋。
そこで俺は友人とサシで話していた。
適度に酒も入ってきて、シモの話が多くなってくる。
「秋葉原の体○倉庫(いちゃキャバ)に○○と行った時は面白かったな。○○の奴さ、俺が連れてくまでは『いや~あんまりそういうところは……』とか行ってた割に、○育倉庫に行った後は『どこでもイイから””抜かせて””くれ!!』つって泣きついて来てさ。ソープ行った挙げ句、結局””不発””だったっていうね(笑)」
大学時代からこんな話ばかりしていたわけではない。
社会人になって、みんな変わってしまったんだ。
「ところで」友人。「この後はなんか予定あるんすか」
腕時計を見ると、もう夜10時になっている。
「いや、もうホテルのチェックインも済ませたし、立川にとってあるから後はフリーだよ」
俺がそう言うと友人は「う~~~~ん」とか言って悩み始める。
「どうしたんすか」
「………最初に『おっぱい』に行ってから『抜く』か……初っ端から『抜く』か……」
「!?」
「いや、終電なら12時まであるから、初っ端から『抜いた』ら時間を持て余すな……ここは『おっぱい』でムラついてから『手』で『フィニッシュ』ってとこが妥当か……」
「……」
「…スッ…スッ…(スマホを操作しだす)」
「『どの娘』がいい?」
スマホの画面には、商品として陳列されている女の子達がいた。
「……」
「早くしてくれよ、予約すンだからさ」
「……さりなちゃん」
「よっしゃ」
つづく